投稿日:2023年1月25日 | 最終更新日:2023年11月3日
インプラントの骨造成とは?
インプラントの手術で、骨を足さないといけない、と言われました。
インプラントの手術で、顎の骨を足すことはよくあることなのでしょうか?
今回は、インプラントの骨造成について詳しく解説していきます。
・インプラントの骨造成はどんな時に必要なのか?
・骨造成のメリット・デメリットは?
・骨造成のリスクはあるの?
〜インプラントの骨造成はどんな時に必要なのか?〜
どのような時に骨造成が必要なのでしょうか?
顎の骨が足りない時、インプラントの治療と同時に骨造成を行うのですが、
インプラントを固定する顎の骨の高さが足りない場合
インプラントを固定する顎の骨の幅が足りない場合
などと、インプラントを顎の骨に埋め入れて、固定する際に顎の骨が十分な量ない場合に、インプラントを十分に固定する事ができません。
インプラントは、インプラント体が顎の骨とより多くの面積に触れて定着することで、安定した固定を図ることができます。ですので、骨が足りていない、ということは今後のインプラントの定着にとって、重要な問題となります。
〜骨造成のメリット・デメリットは?〜
=メリット=
・インプラントの定着が安定する
前述した通り、インプラントは顎の骨が十分な量がないと定着する事が難しく、長期的に考えても、維持する事が難しい場合があります。ですので、骨造成は顎の骨が足りていないところに、量を調節しながら盛り足す事ができる治療法です。
・歯肉の盛り上がりも見込める
顎の骨が足りないと、歯肉も凹んだり、下がったりして、歯が長く見えてしまうことや、歯肉が凹んで影になってしまう事があります。機能的な回復も期待できますが、審美的な回復も十分に期待ができるのが、骨造成と言えるでしょう。
=デメリット=
・腫れや痛みなど、ダウンタイムが長い
通常のインプラントだけの治療の時より、骨造成を行った時の方がダウンタイムは長い傾向にあります。
なぜかというと、インプラントの治療のみの場合より、歯肉などの軟組織を大きく切開する必要があるので、傷口の治癒に時間がかかります。
・骨が安定するまでに時間を要する
骨造成に使用する人工骨が、顎の骨に定着するまでには、とても長い時間を要します。6ヶ月近くは待機し、経過を診て、インプラントに負荷をかけて問題がないかを確認する歯科医院も多いほどです。
顎の骨の減り方や造成する量の多さにもよりますが、ほとんどの場合にはインプラントの治療と同時進行で骨造成を行いますので、骨が造成されることだけを待つ時間ではなく、インプラントの定着する時間と併せて待機をするので、期間としては、それほど長いと感じることは少ないようです。
〜骨造成のリスクはあるの?〜
・腫れや痛みが長引く事がある
前述した通り、歯肉や軟組織の切開の範囲が広くなることから、ダウンタイムが長引きます。
上顎の骨が足りずに上顎洞に顎の骨を足す処置を行う場合がありますが、上顎洞の底を押し上げるようにし、人工の顎の骨を盛り足す、というとても高度な技術になりますので、その場合には、患部からの鼻出血や、お顔の大きな腫れ、アザができることもあります。
・人工骨が定着せず、治癒不全になる事がある
稀にではありますが、骨造成で使用される人工骨が顎の骨に定着せず、歯肉が上手く閉鎖しない、インプラントの固定が図れないなどの症状が出る事があります。
・感染するリスクがある
糖尿病の治療中で状態が安定していない方や、喫煙者の方、免疫力が低下している方などで、感染してしまい、痛みや腫れ、排膿を伴う事があります。体調管理を万全な状態で臨むことを強くお勧めします。困難なケースは特にインプラント専門医に御相談下さい。
〜まとめ〜
骨造成について詳しくお伝えしました。インプラント治療で骨造成が必要になった際に、こちらの記事を参考にしていただけますと幸いです。
監修 大串 博
歯科医師臨床研修指導医
日本歯周病学会 専門医
日本口腔インプラント学会専門医
日本臨床歯周病学会 歯周病指導医・認定医 ・歯周インプラント指導医
日本顎咬合学会 認定医
日本アンチエイジング歯科学会認定医
日本歯科医師会認定産業歯科医
インビザラインダイヤモンドドクター
日本審美歯科学会会員
日本血液学会会員
点滴療法研究会会員 高濃度ビタミンC点滴療法認定医
日本歯科医師会会員
「鬼手仏心」
歯科医になった時からの座右の銘です。
生涯常に研修・精進、メスを置くまで終わりのない道を登り続けます。