投稿日:2020年9月13日 | 最終更新日:2023年9月10日
症例に応じたインプラントメーカーを選びます。
インプラントメーカーにも様々な種類があり、その特徴は様々です。
日本国内でのインプラントの販売元は3つに区分されます。
- 100%外国資本の外資系企業の日本支社
- 日本の輸入販売会社
- 国内製造販売会社
これらの販売元は、直接もしくは歯科用品販売ディーラーを経由して歯科医院や病院に製品を納入しています。
日本のインプラント会社を含めて現在では約20のブランドのインプラントが流通しています。
インプラントのネジの部分の表面に施されているコーティングのことを表面性状といいます。
コーティングは、金属で出来ているインプラント体が骨と結合するため大切な要素の一つです。インプラントの種類には
インプラントの種類は、恐らく数百程度はあると思われます。それぞれに使用するアバットメントなどの関連製品もそれぞれのインプラントメーカーから独自のものが販売されています。
それぞれのブランドでインプラントの形状、長さ、直径(太さ)、表面性状の違うインプラントを販売しており、会社の歴史や販売期間に長短があります。
1人1人の患者さんに適した、インプラントのメーカーを選択して手術を行います。
また、国内外の転勤や転居にを考えて世界シェアの高いインプラントメーカーを選択します。
当院では主に、ノーベルバイオケア、ストローマン、インプラントダイレクト社のインプラントを使用します。
骨の状態や咬合の状態等々を考慮して選択します。
当院では、事前にCTを撮影の上、丁寧に診査・診断を行い、患者さん一人ひとりに最適なインプラントを選択しております。
1つのインプラントメーカーしか取り扱いのない歯科医院では、こうした最適な選択ができません。
一口にインプラントといっても、構造や形状、使用される素材はさまざまです。ここからは、各インプラントの違いや特徴について解説します。
①構造による違い
インプラントは、あごの骨に埋め込む部分である「インプラント体」、人工歯として目に見える部分である「上部構造」、それらを繋ぐ「アバットメント」という3つのパーツで成り立っています。インプラント体とアバットメントが一体となったものを「ワンピースタイプ」、分かれているものを「ツーピースタイプ」と呼びます。
【ワンピースタイプの特徴】
・手術が1回で済むため、患者様への負担が少ない
・治療期間が短い
・部品が少ないのでコストが抑えられる
・インプラントを埋め入れる場所・骨の状態によっては適用できないケースがある
・衝撃を全てインプラント体が受け止めることになるため、破損や炎症のリスクがある
・不具合があった場合、土台ごと撤去する必要がある
【ツーピースタイプの特徴】
・あごの骨が足りない方も含め、多くの人に対して適用できる
・アバットメント・人工歯の選択肢が多く、より患者様にマッチするものを選べる
・手術は2回行うことが多いものの、1回法もある
・アバットメントが衝撃を受け止めるため、インプラント体へのダメージが比較的少ない
・治療期間が長くなりやすい</li> <li>・ワンピースタイプと比べるとコストがかかる
②材料による違い
ほとんどのインプラント体は、金属の一種であるチタンでできています。一方、アバットメントや人工歯の部分は、チタンだけでなくジルコニアなどの非金属が使われることもあります。各材料の特徴と違いをみていきましょう。
【チタンの特徴】
チタンには骨と結合する性質があり、これがインプラントの素材として採用される最大の理由です。通常、金属などの異物が入ると、体は排除しようと反応しますが、チタンは異物として認識されにくいのが特徴です。また、金属アレルギーを起こしにくく、体の中でも物質的に安定した状態を保つことができます。
さらに、軽くて強度に優れているため、かみ合わせた時に力がかかっても破損しにくいと言われています。
純チタン、またはチタン合金として、あごの骨に埋め入れるインプラント体のほか、アバットメントにも用いられます。
【ジルコニアの特徴】
ジルコニアは、人工ダイヤモンドと呼ばれることもある、非常に硬い素材です。非金属なので、アレルギーを引き起こす心配がないのが特徴です。
白色で審美性が高いため、アバットメントのほか、人工歯の部分に用いられます。ジルコニア製のインプラント体もありますが、日本ではまだ認可が下りていません。
③表面処理による違い
インプラントは、骨との結合性を高めるため、あえて表面をザラザラした状態に加工しています。表面の状態が、骨が結合するまでのスピードを左右するとされています。加工にはいくつかの種類がありますが、複数の方法を組み合わせることが一般的です。ここでは、主な処理方法をご紹介します。
【ブラスト処理】
表面に微粒子を吹き付けて凸凹を形成し、粗面に加工します。サンドブラストとも呼ばれる方法です。
【酸処理】
塩酸、硫酸、フッ酸などの酸性物質にインプラント体を曝露させて加工する、化学的な処理方法です。酸エッチングとも呼ばれ、ブラスト処理に比べて、表面のキメが細かいのが特徴です。
【陽極酸化処理】
電解質溶液の中にインプラントを入れて通電し、厚い酸化皮膜を作る処理方法です。骨とチタンの結合をより促進するとされています。
【機械研磨処理】
表面を機械で研磨する処理方法です。従来は、表面をなめらかに磨き上げたほうがよいと考えられてきましたが、ザラザラ面にしたほうが骨との結合がよいとわかったため、現在はほぼ用いられていません。
④形状による違い
歯根部分となるインプラント体の形状は、大きく分けて4種類あります。現在は、このうち2つのタイプが主流となっています。それぞれの特徴をチェックしてみましょう。
【スクリュータイプ】
スクリュータイプは、ネジのような形状で、現在もっとも主流となっているタイプです。埋め込むための穴が小さくて済むため患者様の負担が軽い、表面積が大きいので初期固定しやすい、などのメリットがあります。
先端の形状により、さらに細かく分類することもでき、先端が細くなっているルートタイプと、先端まで直径が変わらないストレートタイプがあります。
【シリンダータイプ】
シリンダータイプは、表面がなめらかな円筒形のインプラントで、こちらも主流のタイプです。ネジのように溝がついていないため、埋め込みは比較的容易にできますが、スクリュータイプより初期固定が弱いとされます。手術を2回行う場合に向いていると言われています。
【バスケットタイプ】
バスケットタイプは、スクリュータイプによく似た形状のインプラントです。スクリュータイプと異なり、中は空洞になっていて、側面にも穴があります。
インプラントの内側にも骨が入り込むため、高い結合性を得られるとされていますが、高度な技術が必要になるため、近年はあまり用いられていません。
【ブレードタイプ】
ブレードタイプは、Tを逆さにしたような、板状の歯根が特徴のインプラントです。骨の幅が狭い場合にも使うことができますが、破損や骨吸収が起こりやすいとされており、現在ではほぼ採用されていません。