投稿日:2023年2月1日 | 最終更新日:2023年11月30日
インプラント治療が行えない例について
インプラント治療が出来ない人もいると聞きました。
どのような場合に、インプラント治療ができないのでしょうか?
今回は、インプラント治療が行えない例について、いくつか事例を挙げて、詳しく解説します。
〜ケース1〜
インプラント治療を希望しているが、歯周病の改善がない場合
簡易な表現をすると。ご自身のお口の中に関心がなく、歯磨きが丁寧のできない方にはインプラント治療をすることは難しいと言えます。
インプラント治療を行う時に、お口の中の環境は、その後のインプラントが長持ちするかどうかに、大きく関わってきます。
インプラントは、金属でできており、被せ物も全て人工物なので、虫歯になることは有りません。ですが、歯周病の状態が改善していないお口の中だと、お口の中に多くの歯周病の細菌や悪玉菌が居る、ということになります。
歯周病は、歯科医院で行う歯周治療と、患者様が行うホームケア、日頃の歯磨きをしっかりと丁寧におこなってもらうことで、改善が見込めます。
ホームケアを怠ってしまう場合には、歯周病は一向に改善されません。
そのような状態の方が、インプラント治療を行うと、インプラントが良好な状態で維持できることは、まず難しいと言えるでしょう。
インプラントは、とてもデリケートにケアをしなければ、良い状態で維持することは出来ません。
インプラント周囲炎を繰り返し起こして、最終的には、インプラントが脱落してしまいます。
結果的に、歯周病治療が終了していて、プラークコントロールができている状態で、お口の中の状態が安定していなければ、インプラント治療は行えません。
〜ケース2〜
全身の健康状態が悪く、外科処置が出来ない方
インプラントの治療は、インプラントを顎の骨の中に埋め入れる際に、外科手術を伴います。
手術範囲が狭くても、出血を伴う外科的な治療は、感染するリスクが有ります。
無理に手術を決行してしまい、感染して、敗血症になってしまうなど、命に関わるリスクがあるからです。
全身状態が落ち着いていて、抵抗力があると判断されないと、インプラント治療を行うことは出来ません。
〜ケース3〜
〜骨密度が低く、顎の骨の状態が良くない〜
インプラント手術を成功させるためには、顎の骨の量や厚み、顎の骨の質も大きく関係してきます。顎の骨の状態が良くないことがわかっていて、インプラントを無理に埋め入れても、顎の骨にしっかりとインプラントが固定される確率は極めて低いです。
顎の骨が足りない場合に、人工の骨を盛り足すこともできますが、顎の骨の質が悪いと、
人工の骨とのくっつきが悪く、傷口の治りも悪く、そこから感染してしまう可能性もあります。結果的に、人工の骨が体に異物と判断されてしまうと、体が排除しようと抵抗しますので、予後が悪くなります。
そうすると、再度手術をし直して、人工の骨を取り除かなければならなくなります。
〜ケース4〜
〜顎の骨の中に、腫瘍がある場合〜
稀なケースではありますが、インプラントの治療を行おうとした時に撮影したCT画像に腫瘍が写り込んでいたというケースもあります。
CT撮影は、インプラントの手術前にはとても重要な検査事項です。
レントゲンでは詳しく見えない場所まで判断できるのがCT撮影の強みです。
CT撮影で、腫瘍が写り込んでいた場合には、インプラント手術はさておき、その腫瘍が良性なのか、悪性なのかを判断するための検査を、大学病院の口腔外科などで精密検査をしてもらう必要性があります。
あまりないケースですが、実際にあり得るケースです。
まとめ
いかがでしたか?インプラント治療が行えないケースについてお伝えしました。
インプラント治療を行うことに、リスクがある場合で、患者様の体に負担をかけてしまうことがないか、その後での管理ができるのか、とういうところが重要になっているのが、ご理解ただけたと思います。こちらの記事が参考になりますと幸いです。
監修 大串 博
歯科医師臨床研修指導医
日本歯周病学会 専門医
日本口腔インプラント学会専門医
日本臨床歯周病学会 歯周病指導医・認定医 ・歯周インプラント指導医
日本顎咬合学会 認定医
日本アンチエイジング歯科学会認定医
日本歯科医師会認定産業歯科医
インビザラインダイヤモンドドクター
日本審美歯科学会会員
日本血液学会会員
点滴療法研究会会員 高濃度ビタミンC点滴療法認定医
日本歯科医師会会員
「鬼手仏心」
歯科医になった時からの座右の銘です。
生涯常に研修・精進、メスを置くまで終わりのない道を登り続けます。