投稿日:2022年11月24日 | 最終更新日:2023年9月10日
「インプラント治療」は外科手術が必要となり、一般的な歯科治療と比べて専門性が高い治療となります。担当する歯科医師には高度な技術と知識・経験が求められます。
インプラント治療が抜群に上手く、患者様の評判が良い歯科医師を「インプラントの名医」と呼びますが、名医に明確な判断基準はありません。しかし、見極めるポイントがあります。
高額な治療費を支払い、時間をかけて外科手術を行うからには、医師・歯科医院選びで失敗しないようにチェックポイントを押さえてインプラント名医を見つけましょう。
インプラント治療とは?
「インプラント治療」とは歯周病や虫歯などで歯根まで歯を失った人が天然の歯根に代わる人工歯根(インプラント)を埋め込み、自分の歯と同じ機能を取り戻すための歯科治療です。
鏡で見える部分の歯は歯冠(しかん)という歯の頭部分ですが、その歯冠の下には歯根(しこん)という歯の根っこ部分があり、あごの骨に埋め込まれているため鏡では見えません。
頭の部分の歯冠と根っこの部分の歯根が合わさって1本の歯を形成していますが、インプラント治療は歯の根っこの機能を回復させることが可能な唯一の治療法になります。
インプラントの構造はチタンという金属で作られていますので、耐久性があり、あごの骨との生態親和性に優れていますので、人工の歯としっかりと結合して強固に固定します。
天然の歯のように機能して噛み合せも良くなり、自分の歯と同じような感覚で噛むことができますので食事の楽しみも増えるでしょう。寿命は個人差がありますが、10年〜15年程度です。
インプラント治療は名医を選ぶべき理由
冒頭にも述べたように、インプラント治療はメスを使って外科手術を行うため、一般的な歯科治療と比べると専門的になり、歯科医師には高度な技術、経験、知識が要求されます。
ただし、インプラント治療を行うための専門資格はなく、実際は歯科医師免許を持っている医師であれば誰でも治療を提供できるのが現状です。
日本全国には多くの歯科医院があり、インプラント治療を行っている医療機関はたくさんありますが、歯科医の技術力や歯科医院の設備などの条件は医療機関によって異なります。
インプラントの技術は年々進歩していますので、名医を選ぶことができれば満足度の高い結果になりますが、医師選びに失敗した場合は後悔されるケースもあるでしょう。
また、インプラント治療は健康保険の適用外となる自費診療ですので、治療費は高額となり、治療後はメンテナンスとして年に2回〜4回くらいの頻度で歯科健診が必要になります。
インプラント治療は担当医と歯科医院とのお付き合いは長くなりますので、近所のかかりつけ歯科だから、といった軽い気持ちで選ぶのではなく、しっかりと見極めることが大切です。
インプラント治療が上手い名医の選び方
専門性の高いインプラント治療は歯科医師のレベルによって大きな差が出ます。
ここからは名医と出会うために必ずチェックしておきたい5つのポイントをご紹介します。
1)症例数の実績
歯科医師のインプラント治療の症例数、治療実績は必ずチェックしておくべき項目です。
インプラント名医と呼ばれるには、一定以上の症例数と埋入本数、経験年数が必要になります。
インプラント症例数の目安としては3000本以上埋入した実績があり、インプラント治療の年間症例は100例以上、インプラント治療経験は20年以上が一つの基準です。
担当医が以上のどれかを満たしていれば、インプラント治療の経験が豊富であると判断できます。ただし症例数は多ければ良いとは限りません。
歯科医院でのカウンセリングの際に、担当医にインプラント治療の症例数はどれくらいあるのか、経験年数なども質問すれば答えてもらえますので、実績は必ず確認しておきましょう。
2)国内インプラント認定医・専門医・指導医である
インプラント治療には医師に特別な資格は不要ですが、インプラント治療の正しい知識と豊富な経験を持つ医師に与えるインプラントの認定医(専修医)・専門医・指導医という資格があります。
インプラント医師認定を行っている団体は「日本口腔インプラント学会」「日本顎顔面インプラント学会」などが挙げられます。
インプラント認定医・専門医・指導医の資格を得るには、同団体の基準をクリアして試験に合格し、インプラント学会の学術、研修会、講習会などで発表や講演実績が必要です。
担当医にインプラント専門の資格があり、学術や講演実績が豊富な歯科医師であれば、知識と専門性の高い技術があると判断できますので、安心して任せることができるでしょう。
ただし、インプラントの資格があれば治療のレベルが高いと保証されるわけではなく、無資格でも臨床経験が豊富でインプラントが上手い医師はいますので、あくまで一つの基準です。
インプラント認定医、専門医、指導医の資格があるか調べるには、歯科医院のホームページにある歯科医のプロフィールを確認したり、カウンセリングで直接尋ねるとよいです。
3)最新技術や治療法に研究熱心である
研究に熱心な歯科医師は定期的に研修会したり、学会に参加して、インプラントの最新技術や治療法、知識を習得しています。
多忙な歯科医師はなかなか研修会や学会に参加できないケースもありますが、インプラント治療は日々進化していますので、最新情報をキャッチする必要があります。
歯科医師のブログやSNSなどをチェックして、定期的に研究会に参加したり、学術大会や講習会に参加したり、雑誌に論文を出しているなど、勤勉さがあることが一つの基準です。
インプラント治療は歯科医師一人で行うのではなく、歯科衛生士や歯科助手などのスタッフと連携が必要ですので、医院全体で勉強会や症例検討会を行っているか確認しておきましょう。
4)丁寧なカウンセリングをしている
インプラント治療はメリットだけでなく、デメリット・リスクもありますので、カウンセリングの際に分かりやすく説明してくれて、質問に対しても丁寧な説明があるか要チェックです。
自由診療の歯科治療は担当の歯科医や歯科医院によって治療期間、治療費、保証内容などが変わってきますので、患者様が納得できるようにしっかりと事前説明を受けましょう。
インプラント以外の治療が必要なケースも考えられますので、お口全体の状態について、症状や原因、治療法の説明を受けて、口全体の治療のスケジュールを尋ねておくことが大切です。
5)医師との相性
インプラント治療を任せる医師は技術力や経験はもちろんですが、長いお付き合いになりますので、医師との相性、話しやすさ、人柄なども大切なチェックポイントです。
カウンセリング・問診の際に実際に話をしてみると気がつくことが多く、複数の医師と話すこことでセカンドオピニオンにもなりますので、信頼できる名医が見つかるでしょう。
後悔しないインプラント治療は歯科医院の選び方もチェック
続いては、インプラント治療の歯科医院の選び方5つのチェックポイントをみていきましょう。
1)設備が充実している
歯科医院の設備が充実していて、衛生管理が徹底されているか判断するポイントになります。
例えば、インプラント専用の手術室がある、歯科医師用のCT機器がある、麻酔設備、機器の消毒、医院内の感染対策や清掃が行き届いている、緊急時の体制が万全であるか要チェック。
歯科医師用のCT機器とは、骨の厚さ、神経、動脈、噛み合せの状態を知るためのCT撮影機器です。口腔内スキャナーや3DCTを使って、水平・垂直・斜めの角度から撮影できます。
安全で正確なインプラント治療を受けるためにも、検査設備が整っている歯科医院を選ぶと最適な治療計画を立ててもらうことができるでしょう。
2)チーム医療の連携が上手くいっている
インプラント治療は医師一人ではなく、チーム医療になりますので、歯科医院のスタッフの連携もよくチェックしておきたいポイントです。
麻酔、噛み合わせ、矯正治療、審美性など複数の専門分野も関わってきますので、チーム医療の連携が上手くいっている歯科医院を選ぶことが大切です。
チーム医療の様子は、歯科医院のブログやSNSなどの様子でも確認することができますし、カウンセリングの際に実際に目で確認しておくとよいでしょう。
3)医院内の感染対策が徹底されている
コロナ禍において、歯科医院の衛生管理はさらに重要なチェックポイントになります。
インプラントは外科手術が必要になりますので、歯科用CTと滅菌診察室の感染対策が万全であること、治療器具が清潔であるか、また医院内の清掃状況も要チェックです。
4)スタッフの対応が良い
インプラント治療は他の歯科治療に比べると歯科医院と長いお付き合いになりますので、受付や歯科アシスタント、歯科衛生士などのスタッフなどの対応が良いと、通いやすいでしょう。
5)しっかりした保証体制がある
インプラントの治療は治療後もメンテナンスが必要になりますので、衛生士による定期メインテナンスがあり、アフターフォローや保証が充実していると安心です。
万が一、不具合があった時のインプラントの保証期間は5~10年が一般的ですが、期間や保証対象範囲、保証回数、費用負担の割合は歯科医院によって異なるので確認しておきましょう。