投稿日:2023年1月25日 | 最終更新日:2023年11月3日
インプラント治療で起こりうるリスクについて
インプラント治療に対して、いざ決意をしても、色々と後ろ向きなことを考えてしまうことは、よくあることです。
実際に、インプラント治療を行う際に調べてみると、肯定的な意見や感想ばかりの事も多いと思います。
ですが、どのような治療であれ、メリットもあればデメリットもあるのは事実です。
今回、インプラント治療で起こりうるリスクにについて、いくつかまとめてみました。
このようなリスクを負わないようにする事が、医療従事者の我々としては第一ですが、
患者様にも、インプラント治療にはこのようなリスクがあることをご理解いただけますと幸いです。
インプラント治療で起こりうるリスクを
・手術中
・手術後
こちらの2つの場面に分けて解説します。
〜インプラントの手術中に考えられるリスクと、リスクの回避方法〜
手術中に考えられるリスクは4点あります。順に解説します。
・顎の骨の中にある神経を傷つけてしまうリスク
・上顎洞に穴をあけてしまう、インプラントが上顎洞内に転がりこんでしまうリスク
・顎の骨の密度が低く、インプラントを固定できないリスク
・患者様がパニックを起こすリスク
・顎の骨の中にある神経や、大きな血管を傷つけてしまうリスク
インプラントの手術をしている最中に、細心の注意を払っているのが、神経や血管を傷つけないようにすることです。
神経のある場所は、レントゲンでも確認することはできますが、2次元的にのみ判断することになってしまうので、CTの撮影を行い、インプラントを入れる場所の周囲は大丈夫なのか、精密検査を行い、慎重に判断している歯科医院がほとんどです。
神経を傷つけてしまうと、唇や頬など、お顔の感覚やお口に感覚が失われてしまい、日常生活に大きな支障をきたします。
大きな血管を傷つけると、大量に失血してしまい、生命に関わる問題へと発展してしまいます。
〜リスク回避方法〜
インプラント手術を希望する場合に、どれだけ本数が少なく簡易な手術だとしても、レントゲン診断だけではなく、CT撮影による精密画像診断を行っている歯科医院を必ず選びましょう。
・上顎洞に穴をあけてしまう、インプラントが上顎洞内に転がりこんでしまうリスク
上顎の奥歯の辺りに、上顎洞という空洞があります。この空洞の付近までインプラントを埋め込む穴を削り、インプラント体を埋め込みます。
ですが、CTの撮影や、インプラントの手術準備を行うステントの製作を行っていない場合に、インプラントを入れる距離の目測を誤り、上顎洞に貫通させてしまうリスクがあります。
〜リスク回避方法〜
インプラント手術前のCT撮影を行っている歯科医院を選び、インプラント治療の経験が長く、インプラントの専門的な知識が豊富なインプラント専門医のいる歯科医院を選びましょう。
・顎の骨の密度が低く、インプラントを固定できないリスク
インプラント手術前診断を行う際のCT撮影で、大まかには判断ができますが、
稀にCT撮影の診断結果以上に、手術で歯肉を開き、顎の骨の状態を確認すると、顎の骨の密度が少ない場合があります。そうすると、インプラントを固定する事ができないので、手術が行えない、あるいは、行っても顎の骨とインプラントが固定出来ず、失敗する恐れがあります。
〜リスク回避方法〜
あらかじめ、骨密度に懸念のある方は手術前にお伝えください。
人工の骨を造成することで、インプラント治療ができる可能性もあります。
・患者様がパニックを起こすリスク
インプラントに限らず、外科的な治療や治療時間が長い場合に、患者様が不安感から急激なパニックを起こす場合があります。
手術に対して恐怖心が強い、限界まで恐怖心を我慢してしまう、閉所恐怖症の場合に、パニックになる場合が多いようです。
〜リスク回避方法〜
パニックになるそうな気がする、リラックスして手術を行いたい、という場合には、
『静脈内鎮静法』という、寝ているような感覚で、治療が行える麻酔を行っている歯科医院を選択することをお勧めします。麻酔科医がいる歯科医院を選ぶと安心です。
いかがでしたか?インプラント治療で起こるリスクと、リスクの回避方法についてお伝えしました。ご参考になりましたら幸いです。
監修 大串 博
歯科医師臨床研修指導医
日本歯周病学会 専門医
日本口腔インプラント学会専門医
日本臨床歯周病学会 歯周病指導医・認定医 ・歯周インプラント指導医
日本顎咬合学会 認定医
日本アンチエイジング歯科学会認定医
日本歯科医師会認定産業歯科医
インビザラインダイヤモンドドクター
日本審美歯科学会会員
日本血液学会会員
点滴療法研究会会員 高濃度ビタミンC点滴療法認定医
日本歯科医師会会員
「鬼手仏心」
歯科医になった時からの座右の銘です。
生涯常に研修・精進、メスを置くまで終わりのない道を登り続けます。